スタッフノート

高気密高断熱住宅だと動線やデザインが犠牲になっていると思っていませんか?

1 従来の考え方では勿体ない間取りになる事が多い
2 まずは採暖か暖房かを決めよう
3 やってしまいがちな勿体ない間取り
4 どんな間取りが高気密高断熱向きなのか
5 どのレベルの高気密高断熱を言ってるの?


従来の考え方では勿体ない間取りになる事が多い

新築住宅を建てる際、多分住まい手の皆さんが最も楽しみにしているのは間取りを考える時間ではないでしょうか。

プロの設計士さんが自分の要望を聞いて、どんな答えを出してくれるのか。待っている間もわくわくしますよね。

恐らく雑誌やSNSなどで「失敗しない間取り事例」みたいなものを読んでみたり、事前に勉強もされることでしょう。

そして、ちょっと勉強した人であれば、世の中にある情報に矛盾がある事に気づかれると思います。

例えば吹き抜け。

「吹き抜けは寒い」という情報と「吹き抜けは寒くない」という情報。両方あります。

果たしてどっちが本当の事なのか。よく分かりませんよね。

実はその答えは家の性能と空調計画によって変わってくるというのが正解なんです。

家の性能というのは高気密高断熱の性能を指します。

つまり、家の間取りを考える際は我が家がどれくらいの性能を持っているのか、どのように暖房をするのかという条件を考慮しなければ非常に勿体ない間取りになってしまうという事なのです。

今回のSTAFF BLOGでは、高性能な家専用の間取りについて考えていきたいと思います。


まずは採暖か暖房かを決めよう

間取りを考え始める前に、我が家の暖房計画をどのようにするのかを決める事が大事です。

日本は古来より暖を取る方法として局所採暖を採用してきました。

ストーブやこたつの様に、人のいる部分だけを暖めるという考え方の機器です。

実は日本の家において、暖を取る設備というのは全てこの採暖機器の延長で発展してきたと言っても過言ではないのです。

例えば暖房便座はトイレの座った面だけを暖めるものです。例えば浴室暖房はお風呂という限られたスペースだけを暖めるものです。

それらの機器の延長で暖房計画をする限りは、高気密高断熱専用の間取りには合いません。

高性能な住宅は「全館暖房」が前提として作られていることが多いのです。

高気密高断熱住宅だから全館暖房。という順番ではなく、全館暖房をしたいから高気密高断熱住宅。という順番なのですね。

勿論、局所採暖をする高気密高断熱住宅もダメではありません。しかし、それは初めにお話したように勿体ない事になっているケースが多いのです。

採暖するのと同じエネルギーで家全体を暖められるようにと考えられたのが高気密高断熱住宅です。ぜひ高性能な住宅には家中を暖める暖房を検討してください。

やってしまいがちな勿体ない間取り

高気密高断熱住宅の間取りを考えるにあたって、まず頭の中から消し去らねばならないのは○○は寒い(暑い)という概念です。

例えば、お風呂やトイレは寒い。玄関は寒い。大きな窓は寒い。納戸は寒い。廊下は寒い。吹き抜けは寒い。

今までの日本の家は家の中に寒い場所があるという前提で作られてきております。

例えば縁側。これは外と中の温度差を少しでも解消しようとするための断熱空間になります。昔は高性能な窓も断熱材も無かったので、空気の層を沢山設けて暖かくするための工夫です。

勿論、縁側は日本人にとってはとても落ち着く空間ですので、そういった意味では間取りに取り込むといい空間になるのは間違いありませんが、断熱空間としての縁側を作るという用途はもう必要ありません。

また、無駄に仕切りの多い個室も高気密高断熱の家には勿体ないです。

仕切るというのも、仕切った向こう側は寒い部屋という前提があるからこそ行われる行為になります。断熱区画の内側は全て暖かいのであれば、家の中の仕切りは暑さ寒さを分けるものではなく、視線を分けたり音を分けたりする用途だけに使えば良い物となります。

全部屋南向き信仰とも呼べる間取りの作り方が日本には存在します。

全ての部屋を南に向けようとすると、やはり勿体ない事になりがちです。

どこに部屋を配置しても、夏にジメジメするとか、冬に寒いとか、そういうことはありません。

限られたスペースを最も有効利用できるような間取りを自由に考える事が出来るようになります。

もし、間取りを考える際、こんなことをすると寒そう、暑そう、そんな事が頭をよぎったり、間取りを誰かに相談した際、こうした方が暖かいんじゃない?という事を指摘されたら、あ、こういうのが不要になるんだなと思っていただいても大丈夫です。

どんな間取りが高気密高断熱向きなのか

高気密高断熱の家を建てると、間取りに制限が出てくると思っている人も一定数いらっしゃいます。

しかし、実はそれは全く逆で、家を高性能化させるという事は、間取りの制限を取り払い、自由度を増すという事に他なりません。

という事で、高気密高断熱はこんな間取りでないとダメだとか、こうするべきであるという物は基本的には有りません。

ちょっと逆説的ではありますが、高気密高断熱じゃないと寒かったり暑かったりして出来ない間取りというのが、高気密高断熱向けの間取りと言っても良いかと思います。

例えば、玄関を入った瞬間からリビングになる間取り。

日本の普通の断熱性能の家だと、こんなことをすると玄関を開ける度に寒くて仕方ありません。しかし十分に暖かい家であれば、玄関ドアを開けた瞬間に入ってくる冷気も、あっという間に室温に馴染んでしまいます。

同様に、天井が高くて大きな吹き抜けのある間取りも高気密高断熱向きと呼べるかもしれません。家の中が上下左右どこに行ってもほぼ一定の温度になりますので、解放感と快適感を同時に感じられる吹き抜けは高気密高断熱にはぴったりになります。

小屋裏部屋も高気密高断熱の家ならではです。元々小屋裏部屋の空間というのは、縁側と同じ、断熱空間でした。屋根が受ける夏のものすごい日射エネルギーを緩和するために、小屋裏の空間という物が用意されておりましたが、屋根と断熱材で完全に日射を遮る事が出来れば、今まで使えなかった小屋裏部屋も快適な空間として有効利用が出来ます。

どのレベルの高気密高断熱を言ってるの?

高気密高断熱専用の間取りについて書いてきましたが、ここで大きなポイントとなるのは、果たしてこのブログで言っている高気密高断熱のレベルとは、どの程度の性能数値を持った建物の事を指すのかです。

世の中に高気密高断熱の住宅は沢山ありますが、そのレベル差はかなりあります。

高気密高断熱を建てているつもりの建築会社さんでも、実際には吹き抜けを作ったら寒いと言われるのは珍しい事ではありません。

事実、吹き抜けを作っても暖かいよと言っているブログはその殆どが建築会社が発信するもので、吹き抜けを作ったら寒かったと言っているブログは、住まい手の方が書いたものが多いです。

住んでみたら思ったよりも暑かった、寒かった、光熱費が高かったという住まい手の感想がいつまでもなくならないのは、断熱性能、という計算が殆どの建築会社で出来ていないからなのですね。

極端な話、無断熱の家でも、毎月20万円程の暖房コストを掛けても良いのであれば、吹き抜けを作り、なおかつ寒くない家にすることは可能です。

それは流石に払いきれませんよね。

じゃあ、5万円なら払ってもいい?3万円なら?2万円?1万円?5千円?

ここまでなら払ってもいいと思える光熱費は、住まい手それぞれが違います。

住まい手が想定するランニングコストに合わせて、断熱のレベルを設計するというのが、本来の断熱設計の仕方になります。

それが理想ではありますが、そうはいってもある程度の目安が欲しいですよね。

なので、このブログで書いた事が本当に実現可能な性能数値の目安をお伝えします。

熱損失係数Q値で言えば、1.5W/㎡Kを切ってくるくらい。平均外皮熱還流率UA値で言えば、0.4W/㎡Kを下回ってくるくらい。C値は0.5㎠/㎡を下回る事。

それが、RAKUYAの言う、何をやっても寒くない間取りが出来る高気密高断熱のレベルです。

勿論、家を建てる場所や、家の大きさ、選ぶ冷暖房設備によっても変わってきますので、詳しくは個別に計算しなくてはなりません。

計算をすることなく、高気密高断熱だからどんな間取りでも大丈夫というのは、彼は足が速いから100mを10秒切れるよと言っているようなもので、出来る事とできない事の区別がついていない状態です。

自由な間取りにするからこそ、その裏では綿密な性能の計算をしなければいけません。

建てた後に、「吹き抜けを作ったけどやっぱり寒かった」ってSNSやブログで発信したくて家を建てる人はいませんよね。

是非、後悔しないように、自由な間取りが出来る性能の家にしてください。

RAKUYAでは10月に高気密高断熱の住まいを見学が出来ますので、失敗しない家を体感してください。

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